職人としての覚悟
良いものは一生ものとよく言います。
このブラシは天然獣毛素材。
木は黒檀。
買った時は数万したと思います。
当時の私にとってはかなりの勇気のいる投資でした。
振り返って数えてみると50年近く使っているものかもしれません。
この理容師人生において、道具は極力良いものを買おうと思って過ごしてきました。
ハサミしかり、剃刀しかり。櫛しかり。
ハサミは高いもので一丁30万するものもあります。
やすいものでも数万。
安いものは研ぎに数回だすとすぐに接点が合わなくなります。
毛がハサミに挟まったりします。
結局のところ安物買いの『銭失ない』になってしまいます。
剃刀も修行時代は本物の『日本刀』や『洋レザー』でした。
30数年前、世にエイズが出だし、この業界も一挙に替刃へと進んでいきました。
が、やはり本物の日本刀や洋レザーの切れ味には負けます。
今でも女性のお顔剃りなどでは『日本刀』を使うことがございます。柔らかいあたりで、お肌への負担はありません。
櫛もそうです。角や、柘植が昔は多くありました。
1枚の値段も2,3万は平気でいたします。
高いものを買う。大事に使う。
安物を買う、粗雑に扱う。絶対に前者の考え方の方が良い。
と私は信じて疑っておりません。
きっと『覚悟』なんでしょうね。
その覚悟が職人としてとてもとても大事なことなのであろうと思っております。
このブラシ。ヘアセットをする時にグっと押さえて熱を加えるところが擦り減って来ています。
1週間に1度重曹を混ぜたぬるま湯に一昼夜浸けます。
そしてある程度乾いてからゴミを取り再度重曹に。
道具は良いものを。
そしてそれを大事に。一所懸命。一生懸命。
それも職人のセオリーだと思っております。
上記記事は『笑顔あふれる仲間たち ウェブマガジン随時版』に寄稿いたしました。
- 2023.03.31 Friday
- ひ と り ご と
- 18:09
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